giroppon (57)
(ミーナさんのブログ、「美少女生活」より)


ファスナー。



多くの着ぐるみに、なくてはならないもの。

それは人と着ぐるみの境界線でもある。

中の人にとっては、自分しか味わう事ができない
濃密で密封された空間への入口である。









僕に背を向けた君が、僕にファスナーを上げる様促す。



僕がファスナーを上げるにつれ、君はだんだんと、着ぐるみの向こうの人になる。



君が舞台から戻ってくると、君じゃないキャラクターが僕にファスナーを下げる様促す。



さっきまでキャラクターだった目の前のそれが、君になって生まれ変わる。







そう、ファスナーは、人とキャラクターの境界線という意味で

着ぐるみが持つダイナミズムを最も象徴する存在。



「ファスナー上げフェチ」という人がいる。

着ぐるみのファスナーを上げるのに

あるいは着ぐるみのファスナーを上げてもらうのに

心の琴線がふれる、という人々だ。



maiko 056



 


ファスナーは、いわば覚悟である。

ファスナーを締め切った瞬間、中の人はそのキャラクターになることを完了する。

締め切ったら最後、そのキャラクターとして空間に居続けなければいけないのだ。

一旦この世に存在する自分から、おさらばするのだ。

そして己の魂を、その着ぐるみに捧げるのだ。



そう考えたら

益々着ぐるみに入りたいって思うようになりません?
(かえって入りたくなくなるか。)